シューズメーカーF社商品開発部

高性能センサーモジュール内蔵のスマートシューズを実現モジュールの開発には課題が山積みで…

背景

近年、歩行や走行データを取得することができるIoTセンサーモジュールを内蔵したスマートシューズのニーズが、スポーツ分野を中心に急速に高まっている。
しかし搭載する二次電池の大きさや硬さが要因で、市場に出ているスマートシューズの多くはインソールにモジュールが内蔵されていない。現状ではシューズにモジュールを外付けするか、あるいはソールにモジュールの取り付けスペースを設けるなどの対応をしているが、スマートシューズの利用者からは歩行時に違和感を覚えるといった声が上がっている。F社ではこうしたユーザーの声を反映し、新たなスマートシューズの開発を進めることにした。

課題

難航するモジュールの小型・軽量化

F社はまず、ユーザーから上がった違和感を解消するにはセンサーモジュールの小型・軽量化が必須と考え、検討を重ねました。分析に使うマイコンや通信用のBLE (Bluetooth Low Energy)、メモリなどはコンパクトに納められることができた一方、リチウムイオン電池と充電コネクタは小さくすることができませんでした。加えて、ユーザーから要望の多かった長時間対応や高機能化を追加しようとすると、電池容量を増やす必要があり、モジュールの小型化はさらに難しくなってしまいました。

形状を変えるなど試みたが、耐久性にも問題が…

問題は電池の大きさや容量だけではありません。モジュールを薄型に変えるなど、試作をいくつか評価しましたが、走行時の衝撃で電池が基板からすぐ外れたり、電池本体が折れてしまったりと耐久性にも問題が発生してしまいました。利用時に違和感を覚えないスマートシューズのために高性能なセンサーモジュールを作りたい、メンバーはその一心で世界中からリチウムイオン電池に関する情報を集め、評価を繰り返しました。

しかし、今回の開発与件に合うものは見つかりませんでした。

課題のポイント

  • センサーモジュールの小型化を進めるも、リチウムイオン電池と充電コネクタを小さくすることができない

  • 長時間対応や高機能化には電池容量を増やす必要があり、小型化はさらに難しくなる

  • モジュールを薄型に変えると、走行時の衝撃で電池が基板からすぐ外れたり、電池本体が折れたりするなど、耐久性の問題も発生する

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