Clayens NP Group様

自動車向けインモールドエレクトロニクス※1の高機能化自動車の軽量化やデザインの自由度向上に貢献する、高性能IMEの開発には課題が…

※1 インモールドエレクトロニクス(In Mold Electronics=IME)。電子部品や回路が形成されたフィルムを三次元成形し、それを射出成形により樹脂と一体化する技術

背景

自動車や飛行機で使われる既存の金属製ワイヤーハーネスなどを使った構造部品のIMEに注目が集まっている。理由として、リジッド基板や金属ワイヤーハーネスに比べ、軽量化、デザインの自由度向上、部品点数の削減、試作リードタイムの短縮に貢献することが挙げられる。フランスに本社を置くポリマー・精密金属部品メーカー Clayens NP Group社(以下、Clayens NP)もこのIMEを使った部品開発を行っている。

課題

IMEの電気抵抗が高く、駆動できるECU※2が限定されてしまう

IMEはフレキシブル基板の上に電気的回路を形成し、樹脂で封止するものです。この電気的回路の導電ペーストは、焼結処理をせずに薄く印刷するだけのため、金属製ワイヤーハーネスやリジッド基板(導電率の高い銅で配線)に比べて電気抵抗が高くなります。電気抵抗が高いと大電流が流せず、消費電力の大きい駆動系ICを搭載したECUは動作しないため、ハプティクスセンサ※3やLED照明といった低消費電力のデバイスしか駆動できませんでした。

※2 ECU=Electronic Control Unit(電子制御ユニット)。一台あたり50~100以上搭載される
※3 触れたことを検出するセンサのこと。一般的なスイッチに比べ操作性に優れる

IMEに適用可能な蓄電デバイスが見つからない…

解決策の一つには、離れたバッテリーからそれぞれのECUへIMEを介して電源を供給するのではなくECUの近くに蓄電デバイスを設置する、いわゆる分散電源化を行うことが考えられました。そのためには、蓄電デバイスごとインモールド成形する必要がありますが、成形時の高温や圧力に耐えられる蓄電デバイスはありませんでした。さらに、一度成形してしまうと蓄電デバイスを交換することがほぼ不可能なため、長期間にわたり継続使用できることも必須でした。

課題のポイント

  • IMEは、リジッド基板(導電率の高い銅で配線)に比べて電気抵抗が高いため、駆動できるECUが限定されてしまう

  • 分散電源化したIMEには、成形加工(温度や圧力)に対応できる蓄電デバイスが欠かせない

  • 成形加工すると蓄電デバイスを交換することが難しくなるため、長期間継続して使用できることが必要

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