精密機器メーカーS社

スマートファクトリーのボトルネック、高温環境でのバックアップ電源問題を解決高温に耐えられるエンコーダのバックアップ用二次電池がなく…

背景

ロボット技術や制御技術、IoT、AIなどの先進技術を活用する、スマート工場(スマートファクトリー)への取り組みが加速している。スマート工場内では、高い精度で迅速に工作機械やロボットを制御する必要があり、その動きを検知するために、エンコーダと呼ばれる回転角度や直線変位を符号化するセンサが欠かせない。世界のエンコーダ市場は今後ますます大きく成長すると予測され、精密機器メーカーであるS社でもロータリーエンコーダを用いたロボットを開発していた。

※軸の回転数・回転角度・回転位置を検出するタイプ

課題

バッテリー交換の手間を省き、地球環境にも配慮したい

S社では、回転運動の多いロボットに、ロータリーエンコーダの一種であるアブソリュートエンコーダを用いています。アブソリュートエンコーダは、電源が喪失すると初期設定値が消失し、原点位置の再設定が必要となるため、バックアップ用の電池交換は1年を目安に行うことを推奨しています。
これまでロボット停止期間中の位置情報をバックアップするアブソリュートエンコーダには、一次電池が搭載されていました。しかし、エンコーダの設置場所によっては、熟練作業者による交換作業が必要となる場合もあり、電池交換の負荷が課題でした。さらにCO2削減やリサイクル、持続可能な社会に向けた取り組みが世界中で活発化する中、アブソリュートエンコーダも環境に配慮した仕様が求められ、使い捨てではない二次電池の搭載が検討されていました。

過酷な環境下でも使える二次電池が欲しい

スマート工場が増えていく中で、さまざまな環境下で使用できる二次電池が求められていました。また、工作機械やロボットの回転を制御し続けると熱が発生するため、設置場所に限らず高温環境でエンコーダを使用することとなります。そのため、エンコーダの作動温度は、低温から高温まで幅広い温度域が求められますが、従来の二次電池では高温下での作動は劣化が早く、長期間使用することが困難でした。

課題のポイント

  • 一次電池では、交換によるコストや廃棄物の発生が課題

  • エンコーダの設置場所によっては、熟練作業者による交換作業が必要で手間がかかる

  • 高速の回転体からの発熱により、高温に耐える二次電池が必要

  • 低温から高温まで幅広い作動温度が要求されるケースもあり、従来の二次電池では対応が困難

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