工作機械メーカーY社

メンテナンスフリーな設備故障の予兆検知センサーを実現最適な場所に設置できるセンサー用の電源がなく…

背景

日本の製造業では、人手不足で現場作業員の確保が難しくなってきている。そのため設備の異音や振動などを振動計で数値化し、機械設備の劣化を事前に検知する予知保全システムの導入が進んでいる。さらに設備故障による修理コスト増や機会損失を避けるため、既存設備に後付けでき改造を必要としないIoTを活用した故障予兆監視システムのニーズが高まっている。工作機械メーカーのY社も、設備に後付け可能な故障予兆監視システムを提供しているが、センサーの設置個所による課題が山積していた。

課題

異常振動を検知できる最適な場所にデバイスを設置できない

異音や振動などを検知するセンサーには、その情報を通信するための電源も必要です。既存設備に後付けする有線センサーでは電源の確保が難しいため、電源内蔵型の無線センサーが多く使われています。ロボットアームは、人間の腕のように複雑な動作が多いため、部品の劣化や消耗が激しく、繊細な先端部の異常を検知するために小型のデバイスが求められていました。しかし、ロボットアームの先端部分は細く、一次電池を用いたデバイスでは寸法が大きすぎて、異常振動を精度よく検知できる場所に設置することができません。また、定期的に電池交換が必要で、非常に手間がかかるという問題もありました。

高温でも使用できる二次電池が欲しい

さらに高温の加工室内には、無線センサーを設置できないという課題もありました。超高速回転する装置や高速マシニングセンターなどでは、モーターによる発熱や加工熱で加工室内の温度が上昇するため、耐熱性の低い既存の二次電池を使用することができません。振動センサーの電源を系統電源から取ろうとすると、配線が邪魔で設備の末端には設置しにくく、お客さまからは「ケーブルの取り回しが大変」「もう少し小さい方がいい」などの要望がありました。

課題のポイント

  • 一次電池ではデバイスの寸法が大きくなり、設備末端に設置できず、電池交換の手間も発生

  • 超高速回転する装置や高速マシニングセンターなどでは、高温に耐える二次電池が必要

  • 低温から高温まで幅広い作動温度が要求されるケースもあり、従来の二次電池では対応が困難

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